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私のイラスト(FFとか、BLEACH、Pandora Heartsが主)や 歌詞(アニソン)もがんがん貼っていきたいと思いますww
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双子の日常!!2が完結しました。
いやあ。長かった。

というか、書き終わった感想ですが、
出てきたばっかりの隼人と隼毅がかわいそう!!!

隼人はまだいいとして、隼毅が可哀想過ぎる!!!!
でてきてすぐにアマリリスに殺されてしまった隼毅。むねんじゃあ。と叫んでから死んでもらいたかった。
その前に、殺される場面すらかかれていない!!!!!!

本当に、どんだけぇ~。

あと、新キャラ出しすぎた…。
次のやつ考えなくちゃ…。


そういえば、今回は、結構キャラの設定がしっかりしてきましたね。

美香→おっとり、天然ちゃん
乃香→男勝り。(かなり
アマリリス→強気。ツンデレキャラ
リサ→ロリロリキャラ
桜(チエリ)→お嬢様系キャラ

こんな感じですか。


それでは、また次回お会いしましょう!!!さようならww

     せんな
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『ぐあぁっ』

隼人は、地面に跪いて口から流れ出した血を拭く。
それを、桜はじっと上から見ている。

『桜嬢…、何のつもりだ…?』

『さっき気づいたのですわ。私は、貴方達に利用されようとしていたのですね?
私と、美香さんと乃香さんを、機関の連中に売り渡そうとしたのでしょう?
そして、それに都合がいいように、あの魔法書を私に渡して、
昔のことを思い出させないようにしていたんですね?私が反撃しないように。

あの魔法書は、確かに便利なものではありました。私は、便利だからあれを離そうとしなかった。
それが好都合だったんですね。
美香さんの家で、一度本から手を離しましたが、それでも、少ししか手放さなかったので、
私は思い出すこともなかったんです。』

隼人は、地面にたれた赤黒い血をじっと見つめたまま、桜の話を聞いていた。

『でも、とっさに先ほど自ら手を離して、思い出したんです。
私は、マロク家の次期主、チエリ・マロクであったことを。
まさか、そんな手に引っかかっていたとは。私自身も驚きましたわ。』

桜は……、いや、チエリは隼人の頭を踏みつけて叫んだ。

『恥を知れ!!東雲隼人!!!貴様に覚えさせた黒魔術の数々、忘れたわけではないだろう!!』
『な…?』

美香とリサは本当に驚きを隠せないように、目を見開いてチエリと隼人を見る。
チエリは、なおも隼人を踏みつけて言う。

『私がお前達に半不死身の薬を作ってやったことを忘れたか!!ここまで強くしてやったことを忘れたか!!』
『ぐあっ』
隼人は血を吐きながら、チエリの足を掴む。

『お前に桜嬢などと呼ばれる覚えはない。お前は、ここで…』
足を掴む隼人の手を退けながら、チエリは無詠唱で手に黒魔術の赤い霊子を絡める。

『……死ね。』

見開かれる隼人の目と、リサの目。
そして、
ズウンッッ…という大きな音に飲み込まれた隼人は、粉々になって、散った。




冷酷な瞳を、美香とリサに向け、チエリは言う。

『偽りの時間も楽しかったですわ。一度は、国に帰ろうかとも思いましたが…。
このまま、『綾野桜』として生きるのも、悪くないかもしれない。
美香さん、これからもクラスメイトとしてよろしく。
そして、リサさん。隼人のこと、今までありがとうございました。』

二人は、無言でうなずく。
なぜか、憧れだった先輩が殺されたのに哀しくない。
何時の間にか、憧れの気持ちは、裏切り者と呼ばれたことによって
怒りに変わっていたのだろうか。


『あ、アマリリスさん!!!あっちはどうなったんですかぁ!!?』
リサは、とっさに思い出したように下に落ちていった、アマリリスを見ようと
フェンスから身を乗り出した。
しかし…


『あいつなら、もう倒したぞ。手ごわかったけどな。』
『アマリリスさん!!!!』

みんなは、アマリリスの傍によっていき、しっかりと握手して喜び合う。
そして、

ガチャン…

『!?』
屋上から下りる階段の扉が開いたのだ。
『なんですぅ!!?おばけですかぁ!?』
リサが、指差した先には…

『よお!!!一人だけ逃げろったって、そういうわけにはいかねえよ。』
『乃香!!!まさか、ずっとそこにいたの?』
美香は、乃香に向かって訊いた。

『おうよ。ばっちり全員分の闘いをアミノリに収めておいたぜ!!!』

乃香は、アミノリをパカッと開いて、3Dであらわれたアマリリス、リサ、桜の姿を全員に見せた。

『すごいですわね…。頭の悪い乃香さんにしては、よく取れてますわ。』
『な、なん!?なんなのさっ!!?桜女史のバッキャロー!!!!』

『あはははは!!!』


            双子の日常!!2 完っっ☆★☆

『隼人先輩っ!!手加減しちゃいけないですよ!!それは、本気なんですか!?』
リサは、隼人に向かってそう叫んだ。

『挑発のつもりかい?だったらその前に、そっちの本気を見せたらどうなんだ?』
『望む所ですっ!!』

ごおおっという大きな音を立てて、リサの水と氷の山は、隼人のほうへと押し寄せる。
しかし、隼人の前に来て氷と水の山はスピードを落とし、止まった。
どんっっという大きな音がして、その攻撃はかき消される。

その代わりに、リサの方へ炎の渦が押し寄せていき…。


『くっ』
チリチリと燃えて落ちる服の袖。
そして、そこから露出する、理沙の白い腕。そこに刻まれる、灰色の魔法陣。

『リリッサ、挑発するのは、自分がもっと強くなってからにしろ。あと、驚いたぞ。それ。』
隼人が指差したのは、リサの腕に浮き上がる、灰色の魔法陣。

『それ、自分の魔法を強化するものだろう?赤が一番強くて、その次が黒。そして、次が灰色。
色が残酷になっていくほど、強化される度合いが強くなっていく。
…まあ、これは黒魔術に関するものだけだが。白魔術には使えないんだけどね。』
リサは、ずっと、隼人を睨んでいる。

『で、その魔法陣、自分でやったわけがないだろう?一体誰にやってもらったんだ?
僕には覚えがないが…。』
隼人は、せせら笑って言う。

『シツユジ・マロク伯爵。』
『あぁ。彼は黒魔術のエキスパートだからね。』

そう言われると、リサはうつむき、何かを口走った。
『…It can freeze, and is an enemy. Lightning it is possible running. Shatter・・・!!!』 
『!!!』

ズドンッッ!!!
大きな音を立てて、走る稲妻と氷が隼人に直撃する。
パタタッっと、今度は逆に隼人の額から、赤い血が滴り落ちる。

『…何のマネだ?』
『そんな魔法陣の話はどうでもいいんです。今、ここは闘いの場所。そんなだらだらと長い
小話はいらないんです。』
リサは、魔法を打つために前に出した手をすっと、元に戻す。

『……裏切り者が。』
『だまれ!!』
すると、リサは今度は両手をかざして、魔法の詠唱を始める。

しかし、その声は隼人によってとめられた。
あまりにもすごすぎる炎が、リサを包み…。

『リサちゃあぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
美香は思わず叫ぶ。
そして、炎の煙が晴れて中から、人の姿が見え始める。


『あれ……?』
中から見えたのは、二人。
リサと、先ほどまで横にいたはずの桜だった。

しかし、おかしなことが1つある。
手に魔法書がない。
魔法書は美香の横にあった。

『桜女史…魔法書は?あれ?あれ?』
美香は、横にある魔法書と桜を交互に見た。

リサもびっくりしたように、桜を見る。
『桜さん。魔法書は?どこにいったんですぅ?』
『あ』
桜も気づいてなかったようだ。

桜は、自分の手を開いたり閉じたりして前を見た。
『隼人様、私、貴方が言っていたことがわかりました。
人造人間でもない、高貴なもの。寿命は世界が崩壊するまでのもの。
それは……、
魔法使いなんですね?私は、魔法使いだったんですね?』

桜は、隼人に問う。
『え?桜さん、魔法使いだったんですかぁ!?』
桜は、こくんと頷いた。

隼人も、やっと気づいたのか。とでも言うようにこちらを見ている。

『さっき、図書館で調べたりした結果、こうなりました。そして、極めつけは、
リサさんが言っていた、シツユジ・マロク。そして、魔法陣です。
シツユジ・マロクは、私の叔父に当たる人なんです。
そして、私の背中には、リサさんの魔方陣と同じ形の赤い魔方陣があるんです。』

『なっ…?!』
リサは、びっくりしたように桜を見る。

『もう足手まといにはなりませんわ。昔のことも思い出しましたし、私も一緒に戦いましょう。』
桜は、リサを見ていった。
『英国貴族、マロク家をなめないでください。』
そして、桜は手から光を放ちながら、ぐっと力を入れて、
隼人の鳩尾に打ち込んだ。

 イラスト

ズガガガガガガッッ

大きな落下音を立てて、アマリリスと隼毅は屋上から下まで落ちていく。

隼人とリサの魔法の風圧で飛ばされたのだ。
しかし、飛ばされながらも二人は戦う構えを崩してはいない。
そして、すぐに体勢を立て直すと、相手に向かって空を蹴り、立ち向かっていく。

『ふん。100年間生きていただけのことはあるな。』
『そうだろ?俺の力はまだまだ、こんなもんじゃないぜッ!!』
隼毅は、そういうと力を入れてアマリリスの剣をはじき返す。

隼毅の武器は、アマリリスの大型の武器とは違い、二本の小刀。
服と同じように、赤色の柄。
そして、その小刀の後ろのほうには、紅の紐状のものが付いており、その二つを
繋ぎ止めている。

『オリャアァッ!!!』
『くッ』
アマリリスの長い髪の一部が、はらはらと花弁のように舞う。

すたっと地面に降り立った二人。
二人は、間合いを狭めることもなく、広げることもなく、静かにたたずんでいる。

アマリリスは、少し足が先ほどの衝撃で痺れていたが、今はそんなことも言っていられない。
今、自分から攻撃を仕掛ければ、きっと相手のカウンターを食らうだろう。
だから、相手からくるまで待つ。

その時、隼毅が足に力を入れて半歩下げたのが見えた。
これは、一気に詰め寄る合図。
今までの戦いの経験から、アマリリスはそう読み取った。


アマリリスの読みは、見事に的中。
予想したとおりの場所に、ものすごいスピードで突っ込んできた。
そこに、アマリリスは大太刀の先を向ける。

―――いける―――…

そう思ったのが、間違いだった。
アマリリスに隙が出来たのだ。

隼毅にとっては遊びに過ぎないこの闘いで、隼毅がそんなに分かりやすい
動きをすると思ったのが間違いだったのだ。

『うあぁっ』
アマリリスは、吐血して自分がさらわれたときに刺された箇所を押さえる。


隼毅は、アマリリスの予想通りの動きをして懐に入ってきたかのように思わせた。
しかし、それは隙を生ませるためのもので、実際は違う。
懐に入った隼毅は、そのまま上に伸び上がり、アマリリスの背後を取った。
そして、後ろからアマリリスの先ほどふさいだばかりの箇所に刃をつきたてたのだ。


『くくっ。読みはいいが、あまりそういうものに頼りすぎていると、こういうことになるんだよッ。』
隼毅は、その手に握っているものを振ってアマリリスに見せた。

それは、アマリリスが先ほど採取したばかりの薬の小瓶。
上に跳んだときにアマリリスから奪ったのだ。
そして、隼毅は、くくくと笑いながら、そのふたを取り――…。



その頃の桜。
『ああっ!!私は一体どうすればっ!?』
桜は、悩んでいた。

『どちらを先に助ければ、行動が有利になるのでしょう!?』
桜は頭を抱えてその場にうずくまる。

『頭はいいけど、運動についてこれないであろう、美香さんと、
運動はいいけど、頭が悪いゆえに、攻撃パターンが読めず、自滅しそうな乃香さん!!
こまるわ…。』

どっちを助けてもやばそうな感じがして桜はどちらを先に助ければいいのか、
本当に頭が痛くなるほどに悩んでいる。
手早く助ければいいが、二人のつかまっている場所に行くまでに時間がかかって、
なおかつ、縄が切れなかったら…。

『よし!!きめました!!私はあっちを…。』

桜は、こそこそと、隼人の後ろを通り、二人のいる場所に着いた。

『んー!!んんんんん―――!!!!!』(あー!!桜女史―――!!!!!)
『んんん、んんんんんんんっんんん?』(お前、逃げたんじゃなかったのかよ?)

桜は、まず二人の猿轡を取って、乃香の足のロープを切った。

『おお。ありがとうな。』
桜は、こくんとうなづくと、美香の手足のロープを切った。
美香は、きょろきょろと手と足を見渡して、ありがと。と一言言った。

そのときだった。
ズドーン!!!!!!!

『『『ぎゃーーーーーーーー!!!』』』
3人の前に大きな氷柱が落ちてきたのだ。
それを、桜はなんとか魔法を使い、反らせる。

『乃香さん!!!もう足のロープは切ったので、そのまま走って逃げてください!!!』
『は!?手がまだ取れてねぇよ!?』
『大丈夫です!!走ることに手は必要ありません!!!』

桜は、こういうときのために乃香の足のロープを切っておいたのだ。
乃香の場合、自分で走って逃げた方が安全に逃げ切れると思ったのだ。
対する美香は、足が遅いため、桜自身が守っていたほうが安全だ。

『早く逃げて!!!また捕まってもいいのですかっ!?』
『ええい!!男は度胸じゃ!!!あたしは逃げるからな!!!後悔しても戻ってきてやるものか!!!』
乃香は、二人をおいて走り去った。

『ふう。これで安心ですわ。』
乃香が逃げると、桜は腰に手を当てて一息いれた。
しかし、美香はその桜のジーパンをくいくいと引っ張ってこう言った。

『ねえ、桜女史。どうして私のロープも切ってるのに逃がさなかったの?』
『あ』
桜は、やっちまったとばかりに頭に手を当てて、口実作りをした。

『ほら、乃香さんは足が速いでしょ?でも、貴方はそれほど速くないって言うか、なんというかで、
あの…、乃香さんの足手まといになるでしょ?乃香さんは、速く逃げてるのに、
貴方のせいで、乃香さんが立ち止まっちゃって、逃げ遅れたってことになりかねないから…。』

桜はあたふたしながら答えた。

『あ、そうだよね…。乃香は足速いからね。標準の私が付いていけるわけないか。』
自分は標準だと思っている美香の頭はどうかしてるんじゃないかと思いながらも、
桜はこくんと頷く。

『しっかし、まあ、こりゃすごいわね。』
桜と美香は周りの光景を見回してこういった。

あまり気づかなかったが、もう回りは、氷と水と炎の宝塚劇団のようになっているのである。


氷と水を使っているのがリサ。
炎を使っているのが隼人である。

二つの攻撃が交じり合うごとに、辺りには水蒸気が散る。
『なんだと…?』

『先輩達は双子なんです。そして、二人とも半不死身。そして、ある日、先輩達は思いついたんです。
自分達が死なない方法を。それは…、二人でともに戦うことです。』

『二人で共に…?』

『はい。一人でも十分強いんですが、二人で力を合わせれば、より強い力になります。
先輩達は、どんな戦いのときも、二人で一緒に戦ってきたんです。
片方が、攻撃をしている間に、もう一人がその反対側に回ったり、身を隠して斬りに行ったり。
これが、先輩達の超高速戦法の秘密です。』

『…で?』
アマリリスは、とんでもない話だ。とばかりに、手を顎に持ってきた。

『で、二人は、どんどん強くなっていき、年をとっていきました。でも、
半不死身になったときから、姿が変わらないんです。これを恐れた人々は
先輩達を町や村から追い出したんです。

50年過ぎたあるときでした。先輩は、今の機関に入ったんです。
ここでは、誰にも恐れられずに、生き続けられるから。
もちろん、そのときの先輩の活躍はすごいものでした。』

リサは、昔を懐かしむようにぼおっとした目で、淡々と話を続ける。

『そして、今、こうして機関から美香さんと乃香さんの捕獲命令が出ています。
私もその命を受けて、先輩と一緒にこの町に来て、下見ということで、
学校に行ってみました。そしたら…』

リサは、アマリリスを指差していった。

『いたんですよ。別組織の濃緑コートを纏った赤茶色の髪の女の子が。』
『私か。』
『そうです。びっくりしましたとも。何でいるんじゃコノヤロー。って思いました。』

アマリリスは、リサにコノヤローは余計だろうと、簡単に突っ込みを入れた。

『で、負けちゃった私は、機関から追放されてこんなことに。今は、私も捕獲命令が出されています。』
『こんな所にいていいのか?』
『いいんです。逃げるの面倒だし。』
『そういうことか。』

ひたすらカンカンと音を立てながら上っていく二人は、そんな会話をしながら、
どんどん上に向かっている。
そして、それに比例して感じる魔力の大きさも大きくなっていき…

『つきましたぁ!!』

やっと頂上に到着。
きっと、一番上では双子と桜がいるはず。
そんなことをおもいながら、二人はぎいっと言う音を立てて、重い扉を開いた。

と、そこには…

『あれ?どうやって抜け出してきたのかな?』
そう、さらりと訊く隼人と、
『んな事どうでもいいだろ?闘いか?』
と、闘いを望んでいる隼毅。

そして、
『ん―――!!んーんーん―――!!!』 (わ―――!!!にーげーて―――)
『んんんんっんんん!?んんん!?んんーん!?』 (何来ちゃってるの!?バカか!?おめえら!?)

猿轡をされて、んーんーと騒ぎながらのた打ち回っている美香と乃香。

『あれ?桜さんは?どこに行ったんですぅ?』
『んんんんんん、んんん』 (桜女史は、逃げた)

『んーんー言っててもわからんぞ。お前らはもうしゃべるな。五月蝿い。』
『…んんー』 (ラジャー)
起こり気味に返す、乃香。

実は、桜は美香と乃香が起きる前に、隼人の魔法によって起こされて、この工事現場から
出してもらっていたのである。
しかし、隼人たちは本当のことを二人に継げず、桜は二人をおいて逃げ出したのだと言った。

それを言われた、二人は置いて行かれたという腸が煮え返りそうな怒りと
殺されるのか!?という、不安でいっぱいだった。
特に乃香なんかは、ここで死んだら、レボーネや、漂白などのマンガの続きが見れないことへの不安もあり、
結構な、不機嫌なのである。

しかし、逃がされた桜は、四人を助け出さなければならない。と思い、魔法書にのって
アマリリスとリサがつかまっていたと思われる場所に向かった。
しかし、そこにはもう、壁に大きな穴が開いており、
(あー。もう逃げたんだー。)
というわけで、双子の所に戻ってきた。

双子が連れてこられていた建物の一番上。
物の影に、桜は降り立ち、しばらく、そこの様子を見渡していた。
すると、横から、ぎいぃという音がして、アマリリスとリサが現れたのであった。


(なんか来てしまいましたわ…。やはり、抜け出していたんですわ…。あの二人。
どうみても、強そうですし…、私が出ることはないのかもしれません…。)
桜は、自分の持っている、大きな魔法書を抱きかかえた。

(せめて、私は援護にまわるとしましょうか。)
そう思い、目の前の様子を確認する。



『お前か?私に攻撃した方は。』
アマリリスは、赤い服を着た、隼毅に尋ねた。
『ああ。そうだ。よくわかったな?』

『私の傷に、お前の魔力が残っていた。』
『そんな微妙にしか残ってねえ魔力で、よく分かったな。』

隼毅は関心するように言った。
すると、アマリリスは先ほどの小瓶を取り出していった。

『ふん。ということは、双子をここに捕まえてきたのもお前だな?』

アマリリスは、意地悪そうに言った。
すると、相手も同じように返す。 

『ああ…。つまり、お前らは、弱いってことだな。俺に切られて、簡単につかまっちまう。』
『ふん。それは、お前が『反則』をしているからであろう?
お前が強いと思われているのは、お前の双子の隼人のおかげでもある。』

『はっ。俺と、兄貴の力は別もんだ。……試してやろうか?』
『いいだろう。構えろ。』

アマリリスは、自分のリサ曰く、『ドラ○もんのポケット』から、柄の水色の
大きな刀を取り出す。

『いくぞ……!!!』



『隼人先輩…、なんで、こんな手荒な方法をしたんですぅ?』
『ん?昔は君も同じことをやっていたじゃないか。』
隼人は、さわやかな感じで答える。

『それとも、やられる側になってから、そんなことを思うようになったのかな?リリッサ。』
『ちがうですぅ!!!』
リサは、反撃した。

『昔は、先輩に憧れすぎていたんですぅ!!でも、今はちゃんと、自分の道が見えるようになったです!!
もう自分の道には先輩みたいな、邪魔な、でっかい石はないんですぅ!!!!』

『邪魔…。か。それは、お互い様じゃないのかな?僕にとって、今、君はすごい邪魔な存在なんだよ?
邪魔者は、排除しなくちゃね。うん。かかってきなよ。』

『望む所ですぅ…!!!』

リサと隼人も戦う構えに入る。

アマリリスと隼毅は打撃で。
リサと隼人は、魔法で。
それぞれの戦法で、今、戦いが始まる…。
また戻って、こちらは、アマリリスとリサ。

『ちょっと…待つです~。速いです~ぅ!!』
リサはへろへろになりながら、カンカンと音を立てて階段を上っていくアマリリスを
必死で追いかける。

『……。』
それに対し、アマリリスは、赤っぽい茶色の髪を左右に揺らし、
無言で、先ほど採取した催眠薬をを見つめている。

『……アマリリスさん、その薬、何なんですか?』
『うむ…。見た所、私たちが使われたものらしい。多分、東雲隼人は
いつもこれを使っていたのだろう。 これには、私の感じる限りでは、
東雲隼人の魔力が少し残っている。』

『そうなんですか…。』

リサは、昔のことを思い出そうとする。
しかし、あまり思い出せない。先ほどの記憶を忘れた時の後遺症だろうか。

『アマリリスさん…、その…あの、それって私たちが使われたものなんですよね?』
『ああ。多分な。』
『で、それがそこに落ちてたってことは、隼人先輩が、美香さんと乃香さんと、桜さんを
連れて行ったんですよね?』

『…ああ。そういうことになるな。』

そう返事が返ってくると、リサは、アマリリスからその薬を引き取り、
先ほどアマリリスが残っていると言った、魔力を探ってみる。

赤や、黄色や、オレンジの糸が絡みあったようになっているこの魔力。
しかし、細い糸が、あちこちで切れていて、とても上手く魔法を使ったわけではなく、
何かを失敗したかのような、そんな魔力。

昔の、東雲隼人の魔力とは、全く違う。
こんなに形は悪くない。
こんなに赤々とした色ではない。

これは――――……。

『これ、隼人先輩が使った薬じゃないです。』

『は?』
アマリリスは、もう一度、その液体に残る魔力を探る。
しかし、何度試しても、自分の受けた攻撃に宿っていた魔力と全く同じである。

『隼人先輩の魔力は、こんなに、赤々と燃えるようなものでもなければ、
こんなに不恰好でもないんです。隼人先輩の魔力は、
青や紫色などの、寒色系の魔力、そして、こんなに糸が絡まったような、ぐちゃぐちゃな
魔力ではなく、六角形なんです。』

『……そうなのか?』

人によって違う、魔力の形と色。
こんなにも違うのに、間違えるはずがない。
しかし、何処か似ている。

感じる魔力の感覚が、二つともよく似ている。
空と海の狭間を探すように探すことが困難なほどに…。

『ええ。こんなに違うのにおかしいでしょう?アマリリスさんでも間違えるほど、
似ている魔力。これは、双子特有の魔力なんです。』
『双子…。』

『性格が反対だから色も形も違う。でも、双子だから、とてつもなくそっくりになるんです。』
『ということは、東雲隼人も…』

アマリリスの瞳孔がみるみる開いてゆく。

『はい。隼人先輩も双子です…。』
『とう!!!』

すたん!!

勢いよく跳び、勢いよく地面についた二人。
綺麗にSDPを使いこなしたアマリリスは満足げだ。

『し…死ぬかと思ったですぅ…。』
リサは、げっそりした感じで言う。

『まあ、本当に死にそうなのは、双子の方なんだが。』
『わあ!!うっかり!!失念ですぅ!!』

すると、リサはアマリリスの腕を引っ張って、
『おりゃああああですぅ!!!』と叫びながら、おそらく先ほどまで
双子と桜が居たであろう所まで走った。


『……いないですね…。どこいったんでしょう…。』
少ししょげたようにリサは言う。

すると、急にアマリリスがバサッと濃緑のマントを翻して、しゃがみこんだ。
『……!! リサ!!ここを見てみろ!! 』
『ん?』

指された場所を覗き込むようにしてリサは見た。
すると、その場所には…、

『液体…ですね…。』
『ああ。しかもただの液体ではない…。睡眠薬だ。』

アマリリスは、なにやら怪しげな紙を取り出してその、微妙に垂れた液体に
つけて、小瓶に入れた。

リサは、何をしているのか分からず、その行動をぼおっと眺めていた。


『…………さあ、リサ。行くぞ。双子の救出だ。』
『え?ええ!?ちょ…!!待つです!!いや…まってくださ~い!!!』


わけの分からぬうちに、アマリリスはいつもの調子でどかどかと先ほどいた建物に
『入り口』から入っていった。




こちらは、双子+桜。

3人は、東雲隼人に来たことを感づかれ、睡眠薬を口の中に押し込まれて
眠っていた。

その様子を、物の影からクスッっと嗤いながら見ている人物がいた。

銀髪の髪に、紫の瞳。
先ほどの東雲隼人である。
しかし、先ほどとは様子が違いすぎる。

今までは、青いコートだったのに、赤いコートになっているし、
笑みは、今までのやわらかい感じの笑みではなく、鋭い、何かを嘲笑うかのような笑み。

そして、極めつけは、鋭い牙のような八重歯。

なにか、別人のようなオーラを放っている。


ぎぃ……。

そこへ、扉が緩やかに開く音がした。
『ああ…。お前か。』
赤い服の東雲隼人は答える。

『おいおい。そりゃないだろう?兄貴に向かって。』
『はっ!!双子に兄貴も糞もあるかぁ!!?』

そして、部屋の中に入ってきたのは、青い服の東雲隼人。
今までどおりの、やわらかい笑みを貼り付けた東雲隼人だった。

『隼毅?ちょっと、そこに転がってるのは…?』
『双子。』
『うおーい!!この子達って、脳を共有する双子じゃないか。この子達は、
僕と契約してるんだから、勝手につれてきちゃ駄目だよ。』

本物の、東雲隼人は、腕を組んで、双子の弟の『東雲隼毅』に言った。

『しかも、この、双子じゃない子は、僕の仲間で…』
『あーうるせー。うるせー。一緒に居たから連れてきちまったんだよ。』
『本当に適当だな。』
『それはお互い様だ。』

隼毅も、腕を組んで対抗した。

『とりあえず、桜嬢は、無関係だから、逃がすよ?』
『んー。まあいいや。こんな『一般人』に何も出来るはずがないからな。』

『ふん。……そうだな。』
隼人は、弟が全く気づいていないことを、知り、にやっと笑う。

桜は、一般人などではないのだが…。

『でも、でれないと、大変なことになるんじゃないんですか!?』

リサは、ていへんだー!!!と叫びながら、部屋を駆け回る。
しかし、その物体を、アマリリスはがしっとつかみ、引き戻した。

『ああ。今は大変なことになった。しかし、私にはまだ、策がある。』
『はい?』

すると、アマリリスは、自分のスカートをべらっと捲り上げた。

『なっ!!ななななぁぁぁ!!!!!!!!』

リサは、その光景を目の当たりにして、顔を手で隠して後ずさり。
(しかし、アマリリスも女の子なので、スカートの下には、学校の体育ズボンをはいていた。)

そして、捲りあげたスカートの中に、手を突っ込み、
ガシャガシャと音を立てながら、手を抜いた。

ガラガラガラ…

『え?』

出てきたのは、いつものアマリリス用武器。
『下半身のポケットは、大きな武器入れだ。』

そういうと、アマリリスは、以前リサにも使ったことのある、スリーピングホール
(アマリリス強化バージョン)をガシャリと取り出して、フッと息を一吹きして、
その銃口をリサに向けた。

『ええ!!?何でですか!?どうして私に向けるんですか…!!?ていうか、その前に、
何でそんなでっかい物が、下半身のポケットに何個も入るんですか!!
あなたは、どら○もんですか!?』

『さあ!!そこに跪け!!!!』

『だーから、何でです!!?私を、眠りに貶めないでください!!』
『何を言っているのだ!!?私は、眠気を吸い取ろうとしているのだ!!』

『え!そんな!寝ないのは、体に悪いんですよ!!?』

『そんなこと、何処かで聞いたな。いいや。えい。』

ぎゅるおー!!ぎゅるおー!!ぎゅるおー!!

という、準備の音が聞こえ、リサはまた、『ていへんだー!!』と叫びながら
部屋を走り回り始めた。

『逃れられんぞ!!発射あああぁぁぁぁ!!!!!!』

どかーん!!!!!!

ものすごい勢いで発射された、(前回は、吸い込むだけだった。)吸い込むための黒い玉が
勢いよく見事、リサに命中。

黒い玉は、どんどんリサの眠気を吸い込みます。

『キャー―――――!!』

『さあさぁさぁさぁ!!!!』


というわけで、ばっちり目の覚めたリサと、転がっている元黒い玉、現在に虹色の玉を
引っ張り上げ、アマリリスは、その玉を本体の大きめサイズのスリーピングホール本体に入れた。

そして、また、奇怪な音を立てながらスリーピングホールは、その銃口を壁に向ける。

『たまった!!いくぞ!!この壁をぶち破る。』
『えー!!今までの工事現場のおじさんの努力がどんどん・・・。』

『発射ーあ!!』

どかーん。

イラスト

二人の目の前には、綺麗にあいた丸い穴と、青々とした、綺麗な空が広がった。

『おーじさーん!!』
『ここから飛び降りるぞ!!』

工事現場のおじさんの努力を踏みにじったアマリリスに、少し怒りを覚えながらも、
リサは、たった今開いたばかりの大きな穴にゆっくりと進む。

そして、そこから下を覗き込むと…

『何じゃこりゃー!!!!!!』

とてつもなく高いのです。確かに下から見た限りでも10階は優に越えていたであろう
ショッピングセンターでしたが、上から見ると、さらに高く見える。

『ここから?命綱もなしに?飛び降りろと?』
『ああ。私には、パラシュートSDPがあるからな。』
『せこい!てか、SDPってなに?! 』

リサは、アマリリスの持っている大き目のパラシュートを指差して言った。

『S!! スペシャル!!  D!! でっかい P!! パラシュート!!』
『そしてダサい!どうしてアマリリスさんの考える名前はそう、いつもダサいんですか!!?』

リサが、言い終わると、アマリリスは、リサの返事もなしに、リサノ体を抱きかかえ、
ぽーんと高く飛び跳ねた。

そして、真っ直ぐ黒々としたアスファルトの上へ…

『いーやあああぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!』

『今から、これを使って、二人に連絡を取る。
私は、場所がいまいち分からないから、リサ、お前が対応をしてくれ。』

『わかったです。』

二人は、手に取ったアミノリを、パカッと開いて、通話ボタンを押す。


………………ピッ

繋がった。

『あ…、アマリリスと、リサか…?』
乃香の声が聞こえる。
『無事だったんだね!?よかった~。』

『ああ。私たちは大丈夫だ。しかし…。今、二人はどこにいるのだ?』

アマリリスは、今自分たちがいる所の前だと、答えてくれないことを、願う。
もしそうだったのであれば、早く逃げてもらわなければ。

『えっと、いつものスーパーの近くなんだけど…。あ、これかな桜女史!?』
『そうね…。これかも。』

『何!?桜もいるのか!?どういうメンバーの組み合わせだ!??というより、
早くそこから離れろ!』

『はい?』

アマリリスは、最悪の事態が起こってしまったことに感づき、3人を退却させようとする。
しかし、それももう遅く…。

『え、な、なんで!?ここまできたのに…! きゃっ!!!離して!!離してください!!! ピッ……』

ツ――… ツ―――… ツ―――…

『やばいですぅ!!』

『3人ともつかまったぞ!!!今から、向こうへ向かう!!いくぞ!!』
『はい!!でも、ちょっと待って下さい!!』
『なんだ!?』

『出ようとしても、私たちは、ここからでれないんですよぅ…?』
『あ』
(くそ…)
どうやってリサの記憶を取り戻すか。
それは簡単だった。

リサに逆魔法をかけておけばいい。その後のリサの演技のほうが
どうなるか分からないが。

そうすれば、リサもこの事態が分かってくれるはず。
逃げる道筋を考えてくれるはず。

(早くここから逃げなければ……!!!)

早くしなければ、みんなが死ぬ。



食事後

アマリリスとリサは、先ほどの部屋に戻された。
そこで、アマリリスは、説得を図る。

『リサ、いいか。今から私が、先ほどの術を解く、逆魔法をかける。
そうしたら、逆魔法をかけられた事を、感づかれないように、振舞ってくれ。』

リサは、こくりと首を縦に振った。

『いいか…?いくぞ…!!』
アマリリスの指に絡まる、魔法の霊子。
それを、そっとリサの頭上に掲げる。

しゅわぁぁぁぁぁ……

今、アマリリスがかけたのは、『双子の存在を思い出す魔法。』
忘れるものとは逆の魔法である。

これは、一番簡素なもので、東雲隼人がかけた魔法の霊子の流れを
逆に絡ませたものである。

『リサ、双子の名前…言えるか?』

すると、リサは、いつもどおりの感じで答えた。
『藍田美香。藍田乃香。ですぅ~。』

アマリリスから、安堵の息がもれ出る。

『そうか。よかった。では、これからここから抜け出る方法を、二人で考えたいと思うのだが…』

『そうですね…。ここ、多分いつも私が買い物に来ている、スーパーの近くの
工事現場だと思うのですぅ~。あ、そういえば、まだ窓が出来てなかったから、窓を探したり
するのは、むちゃだと…。』

リサは、腕を組んだ。
アマリリスもリサと同じように腕を組む。

『『あ…』』

数分後二人は同時にこえを出した。
『そうだ…、アミノリだ…!!』
『私も今、そこに思い立った所ですぅ~!!!』

『冴えてるな。』
『ええ!!いまおいしいご飯を食べたばっかりですから!!』

アマリリスとリサは二カッと笑って、自分の懐から
ピンク色の3D携帯電話、アミノリを出した。



P.S.しばらく更新してなくてすみませんでした…!!!

『おい…、お前、今なんて…!!?』
『なんでもないですぅ!!!忘れてください!!!』
『そんなことできるかぁ!!』
『ふえぇぇ。』

しゃべり方などは変わっていないから、記憶喪失などではないようだ。
とすると、まさか……。

『リサ、私が今、条件から当てはめて考えたのだが…。
お前は、ここに連れてこられるときに、目隠しをされていたか?』
『……?  多分。』
『そうか。では、きっと『メモリー・フリーズ』されている。』

ここで、アマちゃん(アマリリス)の説明。

『メモリー・フリーズ』とは、ある一定の記憶を忘れさせたい相手に、
目隠しをして、暗示をかけるというもので、脳の中からそのものに関しての
覚えていたことが、凍らされたように止まり、思い出せなくなる。
というものだ。

相手を倒すか、逆魔法をかけることによって解除が出来る。
解除をしたときは、しっかりと思い出せるようになっているため、
一時的なものである。

説明終了。


『そういうものなんですか…?』
『そういうものなんだ。』
『そうですか。』
『そうなんだ。』

…………………。

『今、お前の頭の中からは、双子に関しての記憶がフリーズされている。』
『はい。それ以外はなんともないですよね?』
『ん…。東雲隼人も、私も分かるし、分からないのは双子だけのようだが…。
あ、そうだ…。リサ、桜のことを覚えているか?』

『え…、んと、はい。魔法書の人ですよね?』
『そうだ。』
『よかったぁぁ。』
リサは、頭をカリカリとかく。

そのとたん、二人の横からどかん!!という大きな音がした。
そして、その音とともに部屋に入ってきたのは、
紛れもなく、リサの憧れの先輩……。

『隼人先輩…。』
『リサ…。』

隼人は、二人の腕についていたロープを切ると、
そのまま誘導して食堂に連れて行った。
『何でこんなことを…?』
『ん?それはね、君たちは巻き込んでしまった人たちだからね。
それなりの償いをしなくちゃあ。』

いすに着くと、かなり豪華な食事が並べられてきた。
見ただけで高いと思える料理を二人は食べたことがなかった。
なので、二人はそれにすぐに噛み付く。

『おいしいですぅ~**』
『本当だな。薬が入っている様子もないし、大丈夫だろう。』

その光景を、隼人は、真正面の席からじっと見つめていた。
アマリリスは、きっと何かの策があるのだろうと思いながらも、
それを完全無視して食事を楽しんでいた。


食後。
大いに楽しんだ二人に、隼人が話しかけた。
『どうだった?』
『おいしかったですぅ!!』
『ああ。』
『それは良かった。』

隼人はにっこりと微笑み、椅子の肘掛から机の上に手を持ってきた。
『で…。双子達のことなんだけど、君たち、『脳を共有する双子』が
何円の値打ちがするか知っているかい?』

『えっと、噂には聞いたことがあるです。えっと、』
『バカ!迂闊にしゃべるな!!!!!』
『な、何でです!?』

このときアマリリスは確信した。

こいつ、東雲隼人は、自分達から情報を得るためだけに
つれてきた。

別に、人質とかは関係ない。
情報を得たかっただけ。

リサから記憶を取ったのは、リサが、隼人に対しては
口が軽いということを良く知っているから。

これで話がつながった。

東雲隼人は、双子が来たからって、自分達を家に帰す気も、
双子から手を引く気も全くない。

言い換えてしまえば、双子達が商品で、自分達はそれについている、
取扱説明書のようなもの。

早く逃げなければ、全員の命が危うい。

『で、どうして私が、空からの探索なんですか?!空からでは町は平面にしか見えませんよ?』

桜は、例の魔法書に乗って、空から一番高い所の探索に当たっていた。
魔法書には、極わずかな浮遊の力しかないとアマリリスはいっていたが、
持ち主の桜は、別らしい。

『いいの!とりあえず、探してくれれば。』
『あたし達は、下から探してみるから。』
『勝手にしてください。』

確かにこれでは、埒が明かない。
美香たちの住んでいる町は、かなり大きく、高い建物など山ほどある場所だった。

『ふぅ…。これ、ダジャレとかじゃないか…?』
桜は、呟いた。
『それか、今話題で、有名度数が高いとか。あと…、今作ってる最中だけれど、
作り終わるときには町最大のものになるとか。』

やっぱり分からなかった。
と思われたとき。

『あ!!!それならある!!!あと1ヶ月程度で出来上がるビルが!!!
そこなら、有名度数も高いし、出来たころにはここで一番高い建物になる…!!』

そして、そこに気がついた桜は、下にいる二人の元に降りていった。

『私、思いついたの。あと一ヵ月後に、最近話題のショッピングセンターの建物が出来るでしょ?
あそこじゃないかって…。』

桜は、おそるおそる聞いてみた。
『どう?』
『おおおおお!すげぇ!!!流石桜女史!!!』
『すごぉい!!じゃあ、そこにいってみよっか。』
『オーー!!』

そんなこんなで、3人はショッピングセンター建設地へ行ってみることにした。



『ん…。は?』
目の前に広がる闇。
電撃が走りそうなほど痛む腹。

その痛みに目を覚ましたアマリリスは、どこかの床に放置されていた。
何時の間にか、隣にはリサが座って、パチンパチンと救急箱を閉めていた。

『あ、おきたですぅ?』
『リサか…。で、ここはどこなんだ?』
『えっと、私にも分からないんですけど、さっきから工事の音っぽいものが聞こえて
いるので、何処かの建設現場かと。』
『そうか……。』

そして、救急箱を閉め終わったリサは、それを、片付けて戻ってきた。

『アマリリスさん…、私、さっき聞いちゃったんですけど、私たち、どうも
人質とされてここにつれてこられたみたいです。』
『東雲隼人にか?』
『はい。』

………………………。

『で、美香と乃香は大丈夫なのか?』
『え……?』
『は?』
『えっと、言いにくいんですけど……、その、その人たちが
一週間以内にここから私たちを助け出してくれるみたいで…。
もし、それが出来なかったら、その人たちが、機関に売られるみたいです…。』

アマリリスは、目を見開いた。

『あの二人が助けに来るだと?そんなの無茶だ!!』
『で、でも、私たちを助けられるぐらい強いんじゃ…?』
『な、何を言ってるんだ!!?リサ?』

どうも様子がおかしいリサに、アマリリスは、半ギレになった。
しかし、そのリサの答えは、予想を超えて、恐ろしいものだったのだ。



     ―――その人たち、誰ですか…?――――
『じゃあ、きまりだね。期限は一週間だよ。それが守れなかった場合は、君たちは、
お金になるんだからね。あと、僕が手を引くだけじゃあ、条件があまりにも
可哀想だから、桜嬢の秘密も教えてあげようか。』

『え、桜嬢って、桜女史…!?』
『ん。じゃあね…。』

シュンッ

隼人は、アマリリスとリサを抱えて何処かに去っていった。

残ったのは、アマリリスの血のあとだけ。

『ちょ…ちょっと乃香!行っちゃったよ!?いいの?あれで?』
美香は、乃香の顔を覗き込んだ。

きっと、嬉しそうに、冒険が出来ることに喜びを関して笑っているだろうと
思っていた。
でも、違った。

覗き込んだ乃香の顔は、泣いていた。

『乃香…?』
『美香ぁぁっっ』
そのまま乃香は美香に泣きついた。

『どうしよう!あたし、まかせとけコノヤロー!みたいな事、言っちゃったけど…。
不安な顔隠すために言っちゃったけど…!!
助け出せる自信ないよ…。あんな強い人なのに…。』
『乃香…。』

乃香が泣いているのを、美香は始めてみた。

いつも、小学生のときから、男子と喧嘩しても泣かなかったし、
どんだけ怒られても泣かなかった乃香が、
自分の目の前で泣いていると思うと、
なんだか苦しくなった。

『こんなことしている間にも、時間は過ぎて行っちゃうよ?だから、今日は作戦を考えて…。』
乃香は、涙を拭いて立ちあがった。

『そうだよな!!でも、あたしいい作戦思いついちゃったよ。』
『へ?』
『だからな…。』

コソコソコソコソ

『あ、それいい!何とか戦力にはなる!!』
『だろ?しかも、本人も真実を知れるって言う、+効果だぜ!?』
『じゃあ、その人探しに行こうか!!』
『だったら、置手紙が必要だな。あたし、ショウリンの家に泊まることにしておくから。』
『じゃあ、私は、伶那の所に泊まってることにする~。』

そんなこんなで、双子は自分達なりのサバイバルキットを用意し、
リュックにつめて、ある場所へ向かった。そこは……。


『なんですか貴方達。散々私をコケにしておいて。』
『だぁから、謝ってるじゃん!!!』
『お願い桜女史!!話だけでも聞いて!?』

桜のいる、図書館だった。

『し、静かにしなさい。ここは図書館よ!?』
『あんたの方が大きいと思うんだけど。』
『いいの!で、話はなぁに?』

美香は、先ほどのことを、細かく話した。美香なりに。

『えっと、隼人様が来て、アマリリスさんから血がドシュー!!リサさんがバタッ!!てなって、
さっきのように脅迫されて、町の一番高い所に行かないといけない。
だけれども、私たちには、何の技もない普通の人間だから、
私についてきて欲しい。と。そういうわけね?』

『うん。そうだよ。』
『桜女史すげぇな。よく美香の説明で分かったな。
ドシュー!とかバタッ!!の所はおいておいて。』

桜は手を振りながら、話を切り返した。

『いえいえ。で、私には何の得があるんでしたっけ?』
『あんたの本性を教えてもらえるって言う得。』
『また、真っ直ぐ白いご飯の上に振り下ろされた、お箸のようにすっぱりと。』

何その例えは。

『まあ、条件は悪くない。で、何時いくの?』
『今日だ。』
『!!!!???』
桜は、口をハの字にして(話している内容が意味不明のときになる、桜特有の状態。)
言った。

『無計画な…。せめて明日とかにでも…。』
『時間がないの。』
『でも…。』
『時間がないんですぅっ!!!!!』

なぜかは知らないが、美香は、リサ口調で言った。

『んぅ……。しょうがないわねっ!いいわよ。行ってあげようじゃないの。』
『わぁい!ありがとう桜女史!!!』

美香は桜の腕をがしっと掴むと、思いっきり握手をした。

そこで、乃香はふと思った。
『さっき、道であったときは、こんなにお嬢様っぽいしゃべり方じゃないのに、
なんで仲が開けてくると、普段のしゃべり方に戻るんだろう…。』と

『よくいるよなぁ。こういうやつ。きっと、『せんな』もこの口だ。』
(んまぁっっ!!!!失礼な!!!!)

という話は抜きにして、双子の二人は、なんとか、桜の連行を成功させた。(?)
あとは、一番高い所にいくだけ。

でも、そこはどこなのだろう。
この町も結構大きいので、どこが一番高いのかをみるだけで
大変そうだった。
いままで、気づかなかったが、後ろには端正な顔立ちの
少年が立っていた。

『え…?』
『誰だ…?』

美香と乃香は、後ろの美少年を見たまま、硬直する。
しかし、その少年はというと、笑みを顔に貼り付けたまま、美香と乃香の
肩から、手を離した。

『わかりませんか?散々人のことを嗅ぎ回っていながら。』
少年は、目を細めた。
『お前、東雲隼人か?』
『そうです。リリッサから聞いたのでしょう?私の特徴などを。』

隼人は、床に横たわっているリサを指差した。

『お前、何でアマリリスとリサを、こんな風に…!!!』
『なんでか…ですか。』
隼人は、くすっと笑う。

一般人のあなたたちには、何も出来やしないからですよ。
まだあの二人には、僕を邪魔する程度の力がありますが…。
あなたたちは、ただの双子と大差ない。
違うのは、脳を共有しているということだけ。
……まぁ、価値的には高いものではありますがね。』

『か、価値…!』
『ああ…、こいつに聞かなかったのか?
そこら中の機関の奴らが、貴方達を狙っているということを。』


そういえば、昔、初めてアマリリスと会ったとき。

『今、そういう、珍しい人間はだな・・・。秘密機関で高価格で売買されるのだ。
 私も、一応その一人なのだが、色々と面倒でな。
 ・・・、まあ、お前達は特別な、超レア者で、
 秘密機関が狙っているわけだ。
 でも、そこで殺されたりすると、
 世界のバランスが崩れたりする危険性があるため、
 それで、守る・・・ということになる。』

こんなことを言われて、
ちんぷんかんぷんで、頭が真っ白になったことがあったのを
美香は思いだした。

『言われただろう?君たちは、今、高い値段で売られようとしているんだ。
そこでだよ?』
隼人は、その場にしゃがんだ。

『どうだ?僕と駆け引きをしないか?』

『駆け引き…?』
『ああ。今から、一週間以内に、僕からこの二人を助け出すんだ。
場所は、ここの町で一番高い所。
君たちがこの二人を助けられたら、僕は君たちから手を引くよ。
でも、それが出来なかった場合は…。
君たちは僕のお金になるんだ。』

『あたし達を、機関の奴らに売るってことか…?』
『そのとおり。物分りが良くていいね。
もちろん、後ろに倒れている二人は、ただの人質だから、
解放してあげるよ。
さあ。今かけられているのは、自分の命だけれど…。
やるかい?』

『やらないといったら…?』
『こいつらの首をはねる。』
『はっ!上等じゃねぇか。乗ってやるよその、提案に!』
『ちょっと…乃香・・・!!』

しかし、乃香の目は、生き生きと輝いていた。
さて、こちらは、桜に大変な目に合わされた御一行様。

なんとか、アマリリスの溶かしてしまった氷を雑巾で拭き、
リサの『消』(イレイズ)の魔法で水を消したところだった。

『ふう。間一髪でしたぁ。』
『もうちょっと早く思い出せよ。自分が魔法を隼人とか言う奴に
教えてもらってたことをさぁ。』
乃香は無造作にアミノリをパコパコと開いたり閉じたりした。

『だってぇ…。ここ3年間ぐらい魔法なんて使ってないんですもん。』
『あれ?まってまって。リサちゃんて、その、隼人さんみたいに
ずっと生きてて、その年に見えるとかじゃないの?』

『ああ、先輩は、半不死身なんです。』
『半不死身…?なんだ、それは。』
アマリリスは、アミノリをパコパコしている乃香から
アミノリを奪い取って、言った。

『あれ?初耳ですか?アマリリスさん。』
『ああ。聞いたことがない。不死身の薬なら知っているが…。
半不死身など聞いたこともない。』

アマリリスは、リサの真正面に座る。
『で、何だそれは。』
『えっと、じゃあ説明しますね。』
リサは、足が痛くなったのか、正座から足を崩して座りなおした。


『半不死身とは、相手に肉体を殺されなければ、永遠に
同じ見た目でいき続けられるという、とてつもなく、いい感じのものですぅ。
なので、本人が強ければ強いほど、肉体を守る力も強くなるわけで、
ん?あれ?なんて説明すれば…?』

そこで、アマリリスが言った。
『いい!つまりこういうことだろう?
本人が強ければ、自分の体をそれだけ守れるから、
永久にいき続けられる。
自分で命を立つことは可能だが、寿命などない。
……これでどうだ?』

説明を終えたアマリリスに、その他の3人が大きな拍手。
『す、すごいアマリリスちゃん!!!学校の成績がいいのも納得がいくよ!!』
『すげぇな。知らないことをここまで正確に…。』
『あ、ありがとうございます!!!!!すごいです!!!』

その時。
ピコン!!!!!!!!!!!ピコン!!!!!!!!!!!!!!!!!
アミノリが、一斉に大きな音で鳴り始めた。

『なんだこのボリュームは!!こんなこと、ある筈がない!!
ここまで大きな反応なら、もっと前から鳴っていても可笑しくない筈…。』
『むぐっ』
アマリリスの後ろでリサの声がした。
だれかに口を押さえつけられたような、声。

アマリリスは声が聞こえた方向に体を180度回転させる。
しかし、そこには誰もおらず、その代わり、自分の後ろから
少し気配がする。

ブシャァッ
服と、肉を切り裂く音。
『んなぁ!!』
気づくと、自分の背中からは血がどくどくと出ている。

………………………………………。

『いやぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!』
『落ち着けよ美香!!大丈夫だ!アイツはこのくらいじゃ死なねぇ。』
『だって、乃香!血があんなに出てるのに!!!』
美香と乃香の目の前には、血まみれの、親友が倒れている。

乃香だって、内心はヤバイと思っているが、
美香と一緒に騒いだところでどうしようもない。

『アマリリス…さん?』
リサは、少し聞き取りにくいでアマリリスの状態を確認しようとする。

『リサちゃん!!!』
美香が声のするほうを見てみると、リサが目に布を巻きつけられて
目隠しされている。
そして、アマリリスの横に、バタッと倒れた。

見えない何かがそこにいるような気がした。

『何?何が起こってるの!?』
『あたしだってわかんないよ!』
二人は逃げるように、壁際ヘ向かう。

しかし、肩に、当たるものが。
『ご静粛に。双子さんたち。』
『『!!??』』
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HN:
★結來★
年齢:
30
性別:
女性
誕生日:
1993/09/23
職業:
高校生
趣味:
パソコンじゃね?
自己紹介:
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