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『あははっ!またかぁ・・・。』
『本当にねぇ~』
美香ろ乃香は苦笑する。
これも、またいつものこと。
何かで言い合って、顔を見合わせて笑う。
そして、そのあとは何事もなかったかのように
別のことを話して過ごすのだ。
『そういえばさぁ。』
『ん?』
『3時間目、そっち何?』
美香が聞く。
『えっと・・・。確か、美術。そっちは?』
乃香が切り返すと、美香は得意げに、
『にょほほ~。次はですねぇ・・・。なんとなんと、生物なのですよ!』
といった。しかし、乃香は『ゲッ』と言って、下を向いた。
『何さ何さ!!生物いいじゃん!ボルボックスとか、面白いじゃん。』
美香の基準が分からない。
『どこがだよ!!』
乃香もそれとなく突っ込んでみる。
『だったら、あたしはミジンコのほうが好きかな。』
なぜだ?
『だって可愛いもん。ひよこみたいで。』
『あ~確かに。』
どこがだ?
全くと言っていいほど、(と言うかもう、なぜ微生物で盛り上がれるのか
分からない。)意味不明だった。
『あ、今日美術は、あれよあれ!』
『あれって何?あれだけじゃこの世の中生きていけないのよ?』
『うん・・・えっと、あれ・・・そう!あれ!じゃなくて、ポスターだ!』
『やっとでたね。』
『うん。』
乃香はポスターのイメージを語りだした。
『あたしは、火事のポスター。火が燃えてて、ファイヤー!!みたいなやつ。』
『なんじゃそりゃ』
『とりあえず、ファイヤー!な感じで。』
『ねえ、レタリングとか考えたの?』
レタリングとは、文字の構成、書き方などである。
『あ、まだだ。』
『じゃあ、明朝体?ゴシック体?』
『じゃあ、名前的に、ゴシック体で。』
美香はふう。とため息をついた。
『だから点数悪いのよ。小テストの。』
『だけど、期末とか中間はいいじゃん!!』
『それは、私のを見てやってるからでしょ。』
『ばれてたの?』
『当然。』
美香は縦に首を動かした。
いつも乃香は問題がちんぷんかんぷんなので、
美香の記憶から手繰り寄せて、答えを書き写していたのだ。
なので、点数だけは良い。
『なによぅ!!もぅ!!』
『あっはっはっはっは~っっっ』
その声は、どこまでも響く。
横の学校自慢の庭園にまでも。
――しかし、そこには黒い影があったのだ。
腕組をし、赤っぽい髪をした女。それがずっと、横目で
こちらを見ていたのだった。
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