[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
隼人は、地面に跪いて口から流れ出した血を拭く。
それを、桜はじっと上から見ている。
『桜嬢…、何のつもりだ…?』
『さっき気づいたのですわ。私は、貴方達に利用されようとしていたのですね?
私と、美香さんと乃香さんを、機関の連中に売り渡そうとしたのでしょう?
そして、それに都合がいいように、あの魔法書を私に渡して、
昔のことを思い出させないようにしていたんですね?私が反撃しないように。
あの魔法書は、確かに便利なものではありました。私は、便利だからあれを離そうとしなかった。
それが好都合だったんですね。
美香さんの家で、一度本から手を離しましたが、それでも、少ししか手放さなかったので、
私は思い出すこともなかったんです。』
隼人は、地面にたれた赤黒い血をじっと見つめたまま、桜の話を聞いていた。
『でも、とっさに先ほど自ら手を離して、思い出したんです。
私は、マロク家の次期主、チエリ・マロクであったことを。
まさか、そんな手に引っかかっていたとは。私自身も驚きましたわ。』
桜は……、いや、チエリは隼人の頭を踏みつけて叫んだ。
『恥を知れ!!東雲隼人!!!貴様に覚えさせた黒魔術の数々、忘れたわけではないだろう!!』
『な…?』
美香とリサは本当に驚きを隠せないように、目を見開いてチエリと隼人を見る。
チエリは、なおも隼人を踏みつけて言う。
『私がお前達に半不死身の薬を作ってやったことを忘れたか!!ここまで強くしてやったことを忘れたか!!』
『ぐあっ』
隼人は血を吐きながら、チエリの足を掴む。
『お前に桜嬢などと呼ばれる覚えはない。お前は、ここで…』
足を掴む隼人の手を退けながら、チエリは無詠唱で手に黒魔術の赤い霊子を絡める。
『……死ね。』
見開かれる隼人の目と、リサの目。
そして、
ズウンッッ…という大きな音に飲み込まれた隼人は、粉々になって、散った。
冷酷な瞳を、美香とリサに向け、チエリは言う。
『偽りの時間も楽しかったですわ。一度は、国に帰ろうかとも思いましたが…。
このまま、『綾野桜』として生きるのも、悪くないかもしれない。
美香さん、これからもクラスメイトとしてよろしく。
そして、リサさん。隼人のこと、今までありがとうございました。』
二人は、無言でうなずく。
なぜか、憧れだった先輩が殺されたのに哀しくない。
何時の間にか、憧れの気持ちは、裏切り者と呼ばれたことによって
怒りに変わっていたのだろうか。
『あ、アマリリスさん!!!あっちはどうなったんですかぁ!!?』
リサは、とっさに思い出したように下に落ちていった、アマリリスを見ようと
フェンスから身を乗り出した。
しかし…
『あいつなら、もう倒したぞ。手ごわかったけどな。』
『アマリリスさん!!!!』
みんなは、アマリリスの傍によっていき、しっかりと握手して喜び合う。
そして、
ガチャン…
『!?』
屋上から下りる階段の扉が開いたのだ。
『なんですぅ!!?おばけですかぁ!?』
リサが、指差した先には…
『よお!!!一人だけ逃げろったって、そういうわけにはいかねえよ。』
『乃香!!!まさか、ずっとそこにいたの?』
美香は、乃香に向かって訊いた。
『おうよ。ばっちり全員分の闘いをアミノリに収めておいたぜ!!!』
乃香は、アミノリをパカッと開いて、3Dであらわれたアマリリス、リサ、桜の姿を全員に見せた。
『すごいですわね…。頭の悪い乃香さんにしては、よく取れてますわ。』
『な、なん!?なんなのさっ!!?桜女史のバッキャロー!!!!』
『あはははは!!!』
双子の日常!!2 完っっ☆★☆
『隼人先輩っ!!手加減しちゃいけないですよ!!それは、本気なんですか!?』
リサは、隼人に向かってそう叫んだ。
『挑発のつもりかい?だったらその前に、そっちの本気を見せたらどうなんだ?』
『望む所ですっ!!』
ごおおっという大きな音を立てて、リサの水と氷の山は、隼人のほうへと押し寄せる。
しかし、隼人の前に来て氷と水の山はスピードを落とし、止まった。
どんっっという大きな音がして、その攻撃はかき消される。
その代わりに、リサの方へ炎の渦が押し寄せていき…。
『くっ』
チリチリと燃えて落ちる服の袖。
そして、そこから露出する、理沙の白い腕。そこに刻まれる、灰色の魔法陣。
『リリッサ、挑発するのは、自分がもっと強くなってからにしろ。あと、驚いたぞ。それ。』
隼人が指差したのは、リサの腕に浮き上がる、灰色の魔法陣。
『それ、自分の魔法を強化するものだろう?赤が一番強くて、その次が黒。そして、次が灰色。
色が残酷になっていくほど、強化される度合いが強くなっていく。
…まあ、これは黒魔術に関するものだけだが。白魔術には使えないんだけどね。』
リサは、ずっと、隼人を睨んでいる。
『で、その魔法陣、自分でやったわけがないだろう?一体誰にやってもらったんだ?
僕には覚えがないが…。』
隼人は、せせら笑って言う。
『シツユジ・マロク伯爵。』
『あぁ。彼は黒魔術のエキスパートだからね。』
そう言われると、リサはうつむき、何かを口走った。
『…It can freeze, and is an enemy. Lightning it is possible running. Shatter・・・!!!』
『!!!』
ズドンッッ!!!
大きな音を立てて、走る稲妻と氷が隼人に直撃する。
パタタッっと、今度は逆に隼人の額から、赤い血が滴り落ちる。
『…何のマネだ?』
『そんな魔法陣の話はどうでもいいんです。今、ここは闘いの場所。そんなだらだらと長い
小話はいらないんです。』
リサは、魔法を打つために前に出した手をすっと、元に戻す。
『……裏切り者が。』
『だまれ!!』
すると、リサは今度は両手をかざして、魔法の詠唱を始める。
しかし、その声は隼人によってとめられた。
あまりにもすごすぎる炎が、リサを包み…。
『リサちゃあぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
美香は思わず叫ぶ。
そして、炎の煙が晴れて中から、人の姿が見え始める。
『あれ……?』
中から見えたのは、二人。
リサと、先ほどまで横にいたはずの桜だった。
しかし、おかしなことが1つある。
手に魔法書がない。
魔法書は美香の横にあった。
『桜女史…魔法書は?あれ?あれ?』
美香は、横にある魔法書と桜を交互に見た。
リサもびっくりしたように、桜を見る。
『桜さん。魔法書は?どこにいったんですぅ?』
『あ』
桜も気づいてなかったようだ。
桜は、自分の手を開いたり閉じたりして前を見た。
『隼人様、私、貴方が言っていたことがわかりました。
人造人間でもない、高貴なもの。寿命は世界が崩壊するまでのもの。
それは……、
魔法使いなんですね?私は、魔法使いだったんですね?』
桜は、隼人に問う。
『え?桜さん、魔法使いだったんですかぁ!?』
桜は、こくんと頷いた。
隼人も、やっと気づいたのか。とでも言うようにこちらを見ている。
『さっき、図書館で調べたりした結果、こうなりました。そして、極めつけは、
リサさんが言っていた、シツユジ・マロク。そして、魔法陣です。
シツユジ・マロクは、私の叔父に当たる人なんです。
そして、私の背中には、リサさんの魔方陣と同じ形の赤い魔方陣があるんです。』
『なっ…?!』
リサは、びっくりしたように桜を見る。
『もう足手まといにはなりませんわ。昔のことも思い出しましたし、私も一緒に戦いましょう。』
桜は、リサを見ていった。
『英国貴族、マロク家をなめないでください。』
そして、桜は手から光を放ちながら、ぐっと力を入れて、
隼人の鳩尾に打ち込んだ。
大きな落下音を立てて、アマリリスと隼毅は屋上から下まで落ちていく。
隼人とリサの魔法の風圧で飛ばされたのだ。
しかし、飛ばされながらも二人は戦う構えを崩してはいない。
そして、すぐに体勢を立て直すと、相手に向かって空を蹴り、立ち向かっていく。
『ふん。100年間生きていただけのことはあるな。』
『そうだろ?俺の力はまだまだ、こんなもんじゃないぜッ!!』
隼毅は、そういうと力を入れてアマリリスの剣をはじき返す。
隼毅の武器は、アマリリスの大型の武器とは違い、二本の小刀。
服と同じように、赤色の柄。
そして、その小刀の後ろのほうには、紅の紐状のものが付いており、その二つを
繋ぎ止めている。
『オリャアァッ!!!』
『くッ』
アマリリスの長い髪の一部が、はらはらと花弁のように舞う。
すたっと地面に降り立った二人。
二人は、間合いを狭めることもなく、広げることもなく、静かにたたずんでいる。
アマリリスは、少し足が先ほどの衝撃で痺れていたが、今はそんなことも言っていられない。
今、自分から攻撃を仕掛ければ、きっと相手のカウンターを食らうだろう。
だから、相手からくるまで待つ。
その時、隼毅が足に力を入れて半歩下げたのが見えた。
これは、一気に詰め寄る合図。
今までの戦いの経験から、アマリリスはそう読み取った。
アマリリスの読みは、見事に的中。
予想したとおりの場所に、ものすごいスピードで突っ込んできた。
そこに、アマリリスは大太刀の先を向ける。
―――いける―――…
そう思ったのが、間違いだった。
アマリリスに隙が出来たのだ。
隼毅にとっては遊びに過ぎないこの闘いで、隼毅がそんなに分かりやすい
動きをすると思ったのが間違いだったのだ。
『うあぁっ』
アマリリスは、吐血して自分がさらわれたときに刺された箇所を押さえる。
隼毅は、アマリリスの予想通りの動きをして懐に入ってきたかのように思わせた。
しかし、それは隙を生ませるためのもので、実際は違う。
懐に入った隼毅は、そのまま上に伸び上がり、アマリリスの背後を取った。
そして、後ろからアマリリスの先ほどふさいだばかりの箇所に刃をつきたてたのだ。
『くくっ。読みはいいが、あまりそういうものに頼りすぎていると、こういうことになるんだよッ。』
隼毅は、その手に握っているものを振ってアマリリスに見せた。
それは、アマリリスが先ほど採取したばかりの薬の小瓶。
上に跳んだときにアマリリスから奪ったのだ。
そして、隼毅は、くくくと笑いながら、そのふたを取り――…。
その頃の桜。
『ああっ!!私は一体どうすればっ!?』
桜は、悩んでいた。
『どちらを先に助ければ、行動が有利になるのでしょう!?』
桜は頭を抱えてその場にうずくまる。
『頭はいいけど、運動についてこれないであろう、美香さんと、
運動はいいけど、頭が悪いゆえに、攻撃パターンが読めず、自滅しそうな乃香さん!!
こまるわ…。』
どっちを助けてもやばそうな感じがして桜はどちらを先に助ければいいのか、
本当に頭が痛くなるほどに悩んでいる。
手早く助ければいいが、二人のつかまっている場所に行くまでに時間がかかって、
なおかつ、縄が切れなかったら…。
『よし!!きめました!!私はあっちを…。』
桜は、こそこそと、隼人の後ろを通り、二人のいる場所に着いた。
『んー!!んんんんん―――!!!!!』(あー!!桜女史―――!!!!!)
『んんん、んんんんんんんっんんん?』(お前、逃げたんじゃなかったのかよ?)
桜は、まず二人の猿轡を取って、乃香の足のロープを切った。
『おお。ありがとうな。』
桜は、こくんとうなづくと、美香の手足のロープを切った。
美香は、きょろきょろと手と足を見渡して、ありがと。と一言言った。
そのときだった。
ズドーン!!!!!!!
『『『ぎゃーーーーーーーー!!!』』』
3人の前に大きな氷柱が落ちてきたのだ。
それを、桜はなんとか魔法を使い、反らせる。
『乃香さん!!!もう足のロープは切ったので、そのまま走って逃げてください!!!』
『は!?手がまだ取れてねぇよ!?』
『大丈夫です!!走ることに手は必要ありません!!!』
桜は、こういうときのために乃香の足のロープを切っておいたのだ。
乃香の場合、自分で走って逃げた方が安全に逃げ切れると思ったのだ。
対する美香は、足が遅いため、桜自身が守っていたほうが安全だ。
『早く逃げて!!!また捕まってもいいのですかっ!?』
『ええい!!男は度胸じゃ!!!あたしは逃げるからな!!!後悔しても戻ってきてやるものか!!!』
乃香は、二人をおいて走り去った。
『ふう。これで安心ですわ。』
乃香が逃げると、桜は腰に手を当てて一息いれた。
しかし、美香はその桜のジーパンをくいくいと引っ張ってこう言った。
『ねえ、桜女史。どうして私のロープも切ってるのに逃がさなかったの?』
『あ』
桜は、やっちまったとばかりに頭に手を当てて、口実作りをした。
『ほら、乃香さんは足が速いでしょ?でも、貴方はそれほど速くないって言うか、なんというかで、
あの…、乃香さんの足手まといになるでしょ?乃香さんは、速く逃げてるのに、
貴方のせいで、乃香さんが立ち止まっちゃって、逃げ遅れたってことになりかねないから…。』
桜はあたふたしながら答えた。
『あ、そうだよね…。乃香は足速いからね。標準の私が付いていけるわけないか。』
自分は標準だと思っている美香の頭はどうかしてるんじゃないかと思いながらも、
桜はこくんと頷く。
『しっかし、まあ、こりゃすごいわね。』
桜と美香は周りの光景を見回してこういった。
あまり気づかなかったが、もう回りは、氷と水と炎の宝塚劇団のようになっているのである。
氷と水を使っているのがリサ。
炎を使っているのが隼人である。
二つの攻撃が交じり合うごとに、辺りには水蒸気が散る。
『先輩達は双子なんです。そして、二人とも半不死身。そして、ある日、先輩達は思いついたんです。
自分達が死なない方法を。それは…、二人でともに戦うことです。』
『二人で共に…?』
『はい。一人でも十分強いんですが、二人で力を合わせれば、より強い力になります。
先輩達は、どんな戦いのときも、二人で一緒に戦ってきたんです。
片方が、攻撃をしている間に、もう一人がその反対側に回ったり、身を隠して斬りに行ったり。
これが、先輩達の超高速戦法の秘密です。』
『…で?』
アマリリスは、とんでもない話だ。とばかりに、手を顎に持ってきた。
『で、二人は、どんどん強くなっていき、年をとっていきました。でも、
半不死身になったときから、姿が変わらないんです。これを恐れた人々は
先輩達を町や村から追い出したんです。
50年過ぎたあるときでした。先輩は、今の機関に入ったんです。
ここでは、誰にも恐れられずに、生き続けられるから。
もちろん、そのときの先輩の活躍はすごいものでした。』
リサは、昔を懐かしむようにぼおっとした目で、淡々と話を続ける。
『そして、今、こうして機関から美香さんと乃香さんの捕獲命令が出ています。
私もその命を受けて、先輩と一緒にこの町に来て、下見ということで、
学校に行ってみました。そしたら…』
リサは、アマリリスを指差していった。
『いたんですよ。別組織の濃緑コートを纏った赤茶色の髪の女の子が。』
『私か。』
『そうです。びっくりしましたとも。何でいるんじゃコノヤロー。って思いました。』
アマリリスは、リサにコノヤローは余計だろうと、簡単に突っ込みを入れた。
『で、負けちゃった私は、機関から追放されてこんなことに。今は、私も捕獲命令が出されています。』
『こんな所にいていいのか?』
『いいんです。逃げるの面倒だし。』
『そういうことか。』
ひたすらカンカンと音を立てながら上っていく二人は、そんな会話をしながら、
どんどん上に向かっている。
そして、それに比例して感じる魔力の大きさも大きくなっていき…
『つきましたぁ!!』
やっと頂上に到着。
きっと、一番上では双子と桜がいるはず。
そんなことをおもいながら、二人はぎいっと言う音を立てて、重い扉を開いた。
と、そこには…
『あれ?どうやって抜け出してきたのかな?』
そう、さらりと訊く隼人と、
『んな事どうでもいいだろ?闘いか?』
と、闘いを望んでいる隼毅。
そして、
『ん―――!!んーんーん―――!!!』 (わ―――!!!にーげーて―――)
『んんんんっんんん!?んんん!?んんーん!?』 (何来ちゃってるの!?バカか!?おめえら!?)
猿轡をされて、んーんーと騒ぎながらのた打ち回っている美香と乃香。
『あれ?桜さんは?どこに行ったんですぅ?』
『んんんんんん、んんん』 (桜女史は、逃げた)
『んーんー言っててもわからんぞ。お前らはもうしゃべるな。五月蝿い。』
『…んんー』 (ラジャー)
起こり気味に返す、乃香。
実は、桜は美香と乃香が起きる前に、隼人の魔法によって起こされて、この工事現場から
出してもらっていたのである。
しかし、隼人たちは本当のことを二人に継げず、桜は二人をおいて逃げ出したのだと言った。
それを言われた、二人は置いて行かれたという腸が煮え返りそうな怒りと
殺されるのか!?という、不安でいっぱいだった。
特に乃香なんかは、ここで死んだら、レボーネや、漂白などのマンガの続きが見れないことへの不安もあり、
結構な、不機嫌なのである。
しかし、逃がされた桜は、四人を助け出さなければならない。と思い、魔法書にのって
アマリリスとリサがつかまっていたと思われる場所に向かった。
しかし、そこにはもう、壁に大きな穴が開いており、
(あー。もう逃げたんだー。)
というわけで、双子の所に戻ってきた。
双子が連れてこられていた建物の一番上。
物の影に、桜は降り立ち、しばらく、そこの様子を見渡していた。
すると、横から、ぎいぃという音がして、アマリリスとリサが現れたのであった。
(なんか来てしまいましたわ…。やはり、抜け出していたんですわ…。あの二人。
どうみても、強そうですし…、私が出ることはないのかもしれません…。)
桜は、自分の持っている、大きな魔法書を抱きかかえた。
(せめて、私は援護にまわるとしましょうか。)
そう思い、目の前の様子を確認する。
『お前か?私に攻撃した方は。』
アマリリスは、赤い服を着た、隼毅に尋ねた。
『ああ。そうだ。よくわかったな?』
『私の傷に、お前の魔力が残っていた。』
『そんな微妙にしか残ってねえ魔力で、よく分かったな。』
隼毅は関心するように言った。
すると、アマリリスは先ほどの小瓶を取り出していった。
『ふん。ということは、双子をここに捕まえてきたのもお前だな?』
アマリリスは、意地悪そうに言った。
すると、相手も同じように返す。
『ああ…。つまり、お前らは、弱いってことだな。俺に切られて、簡単につかまっちまう。』
『ふん。それは、お前が『反則』をしているからであろう?
お前が強いと思われているのは、お前の双子の隼人のおかげでもある。』
『はっ。俺と、兄貴の力は別もんだ。……試してやろうか?』
『いいだろう。構えろ。』
アマリリスは、自分のリサ曰く、『ドラ○もんのポケット』から、柄の水色の
大きな刀を取り出す。
『いくぞ……!!!』
『隼人先輩…、なんで、こんな手荒な方法をしたんですぅ?』
『ん?昔は君も同じことをやっていたじゃないか。』
隼人は、さわやかな感じで答える。
『それとも、やられる側になってから、そんなことを思うようになったのかな?リリッサ。』
『ちがうですぅ!!!』
リサは、反撃した。
『昔は、先輩に憧れすぎていたんですぅ!!でも、今はちゃんと、自分の道が見えるようになったです!!
もう自分の道には先輩みたいな、邪魔な、でっかい石はないんですぅ!!!!』
『邪魔…。か。それは、お互い様じゃないのかな?僕にとって、今、君はすごい邪魔な存在なんだよ?
邪魔者は、排除しなくちゃね。うん。かかってきなよ。』
『望む所ですぅ…!!!』
リサと隼人も戦う構えに入る。
アマリリスと隼毅は打撃で。
リサと隼人は、魔法で。
それぞれの戦法で、今、戦いが始まる…。
『ちょっと…待つです~。速いです~ぅ!!』
リサはへろへろになりながら、カンカンと音を立てて階段を上っていくアマリリスを
必死で追いかける。
『……。』
それに対し、アマリリスは、赤っぽい茶色の髪を左右に揺らし、
無言で、先ほど採取した催眠薬をを見つめている。
『……アマリリスさん、その薬、何なんですか?』
『うむ…。見た所、私たちが使われたものらしい。多分、東雲隼人は
いつもこれを使っていたのだろう。 これには、私の感じる限りでは、
東雲隼人の魔力が少し残っている。』
『そうなんですか…。』
リサは、昔のことを思い出そうとする。
しかし、あまり思い出せない。先ほどの記憶を忘れた時の後遺症だろうか。
『アマリリスさん…、その…あの、それって私たちが使われたものなんですよね?』
『ああ。多分な。』
『で、それがそこに落ちてたってことは、隼人先輩が、美香さんと乃香さんと、桜さんを
連れて行ったんですよね?』
『…ああ。そういうことになるな。』
そう返事が返ってくると、リサは、アマリリスからその薬を引き取り、
先ほどアマリリスが残っていると言った、魔力を探ってみる。
赤や、黄色や、オレンジの糸が絡みあったようになっているこの魔力。
しかし、細い糸が、あちこちで切れていて、とても上手く魔法を使ったわけではなく、
何かを失敗したかのような、そんな魔力。
昔の、東雲隼人の魔力とは、全く違う。
こんなに形は悪くない。
こんなに赤々とした色ではない。
これは――――……。
『これ、隼人先輩が使った薬じゃないです。』
『は?』
アマリリスは、もう一度、その液体に残る魔力を探る。
しかし、何度試しても、自分の受けた攻撃に宿っていた魔力と全く同じである。
『隼人先輩の魔力は、こんなに、赤々と燃えるようなものでもなければ、
こんなに不恰好でもないんです。隼人先輩の魔力は、
青や紫色などの、寒色系の魔力、そして、こんなに糸が絡まったような、ぐちゃぐちゃな
魔力ではなく、六角形なんです。』
『……そうなのか?』
人によって違う、魔力の形と色。
こんなにも違うのに、間違えるはずがない。
しかし、何処か似ている。
感じる魔力の感覚が、二つともよく似ている。
空と海の狭間を探すように探すことが困難なほどに…。
『ええ。こんなに違うのにおかしいでしょう?アマリリスさんでも間違えるほど、
似ている魔力。これは、双子特有の魔力なんです。』
『双子…。』
『性格が反対だから色も形も違う。でも、双子だから、とてつもなくそっくりになるんです。』
『ということは、東雲隼人も…』
アマリリスの瞳孔がみるみる開いてゆく。
『はい。隼人先輩達も双子です…。』
すたん!!
勢いよく跳び、勢いよく地面についた二人。
綺麗にSDPを使いこなしたアマリリスは満足げだ。
『し…死ぬかと思ったですぅ…。』
リサは、げっそりした感じで言う。
『まあ、本当に死にそうなのは、双子の方なんだが。』
『わあ!!うっかり!!失念ですぅ!!』
すると、リサはアマリリスの腕を引っ張って、
『おりゃああああですぅ!!!』と叫びながら、おそらく先ほどまで
双子と桜が居たであろう所まで走った。
『……いないですね…。どこいったんでしょう…。』
少ししょげたようにリサは言う。
すると、急にアマリリスがバサッと濃緑のマントを翻して、しゃがみこんだ。
『……!! リサ!!ここを見てみろ!! 』
『ん?』
指された場所を覗き込むようにしてリサは見た。
すると、その場所には…、
『液体…ですね…。』
『ああ。しかもただの液体ではない…。睡眠薬だ。』
アマリリスは、なにやら怪しげな紙を取り出してその、微妙に垂れた液体に
つけて、小瓶に入れた。
リサは、何をしているのか分からず、その行動をぼおっと眺めていた。
『…………さあ、リサ。行くぞ。双子の救出だ。』
『え?ええ!?ちょ…!!待つです!!いや…まってくださ~い!!!』
わけの分からぬうちに、アマリリスはいつもの調子でどかどかと先ほどいた建物に
『入り口』から入っていった。
こちらは、双子+桜。
3人は、東雲隼人に来たことを感づかれ、睡眠薬を口の中に押し込まれて
眠っていた。
その様子を、物の影からクスッっと嗤いながら見ている人物がいた。
銀髪の髪に、紫の瞳。
先ほどの東雲隼人である。
しかし、先ほどとは様子が違いすぎる。
今までは、青いコートだったのに、赤いコートになっているし、
笑みは、今までのやわらかい感じの笑みではなく、鋭い、何かを嘲笑うかのような笑み。
そして、極めつけは、鋭い牙のような八重歯。
なにか、別人のようなオーラを放っている。
ぎぃ……。
そこへ、扉が緩やかに開く音がした。
『ああ…。お前か。』
赤い服の東雲隼人は答える。
『おいおい。そりゃないだろう?兄貴に向かって。』
『はっ!!双子に兄貴も糞もあるかぁ!!?』
そして、部屋の中に入ってきたのは、青い服の東雲隼人。
今までどおりの、やわらかい笑みを貼り付けた東雲隼人だった。
『隼毅?ちょっと、そこに転がってるのは…?』
『双子。』
『うおーい!!この子達って、脳を共有する双子じゃないか。この子達は、
僕と契約してるんだから、勝手につれてきちゃ駄目だよ。』
本物の、東雲隼人は、腕を組んで、双子の弟の『東雲隼毅』に言った。
『しかも、この、双子じゃない子は、僕の仲間で…』
『あーうるせー。うるせー。一緒に居たから連れてきちまったんだよ。』
『本当に適当だな。』
『それはお互い様だ。』
隼毅も、腕を組んで対抗した。
『とりあえず、桜嬢は、無関係だから、逃がすよ?』
『んー。まあいいや。こんな『一般人』に何も出来るはずがないからな。』
『ふん。……そうだな。』
隼人は、弟が全く気づいていないことを、知り、にやっと笑う。
桜は、一般人などではないのだが…。
『でも、でれないと、大変なことになるんじゃないんですか!?』
リサは、ていへんだー!!!と叫びながら、部屋を駆け回る。
しかし、その物体を、アマリリスはがしっとつかみ、引き戻した。
『ああ。今は大変なことになった。しかし、私にはまだ、策がある。』
『はい?』
すると、アマリリスは、自分のスカートをべらっと捲り上げた。
『なっ!!ななななぁぁぁ!!!!!!!!』
リサは、その光景を目の当たりにして、顔を手で隠して後ずさり。
(しかし、アマリリスも女の子なので、スカートの下には、学校の体育ズボンをはいていた。)
そして、捲りあげたスカートの中に、手を突っ込み、
ガシャガシャと音を立てながら、手を抜いた。
ガラガラガラ…
『え?』
出てきたのは、いつものアマリリス用武器。
『下半身のポケットは、大きな武器入れだ。』
そういうと、アマリリスは、以前リサにも使ったことのある、スリーピングホール
(アマリリス強化バージョン)をガシャリと取り出して、フッと息を一吹きして、
その銃口をリサに向けた。
『ええ!!?何でですか!?どうして私に向けるんですか…!!?ていうか、その前に、
何でそんなでっかい物が、下半身のポケットに何個も入るんですか!!
あなたは、どら○もんですか!?』
『さあ!!そこに跪け!!!!』
『だーから、何でです!!?私を、眠りに貶めないでください!!』
『何を言っているのだ!!?私は、眠気を吸い取ろうとしているのだ!!』
『え!そんな!寝ないのは、体に悪いんですよ!!?』
『そんなこと、何処かで聞いたな。いいや。えい。』
ぎゅるおー!!ぎゅるおー!!ぎゅるおー!!
という、準備の音が聞こえ、リサはまた、『ていへんだー!!』と叫びながら
部屋を走り回り始めた。
『逃れられんぞ!!発射あああぁぁぁぁ!!!!!!』
どかーん!!!!!!
ものすごい勢いで発射された、(前回は、吸い込むだけだった。)吸い込むための黒い玉が
勢いよく見事、リサに命中。
黒い玉は、どんどんリサの眠気を吸い込みます。
『キャー―――――!!』
『さあさぁさぁさぁ!!!!』
というわけで、ばっちり目の覚めたリサと、転がっている元黒い玉、現在に虹色の玉を
引っ張り上げ、アマリリスは、その玉を本体の大きめサイズのスリーピングホール本体に入れた。
そして、また、奇怪な音を立てながらスリーピングホールは、その銃口を壁に向ける。
『たまった!!いくぞ!!この壁をぶち破る。』
『えー!!今までの工事現場のおじさんの努力がどんどん・・・。』
『発射ーあ!!』
どかーん。
二人の目の前には、綺麗にあいた丸い穴と、青々とした、綺麗な空が広がった。
『おーじさーん!!』
『ここから飛び降りるぞ!!』
工事現場のおじさんの努力を踏みにじったアマリリスに、少し怒りを覚えながらも、
リサは、たった今開いたばかりの大きな穴にゆっくりと進む。
そして、そこから下を覗き込むと…
『何じゃこりゃー!!!!!!』
とてつもなく高いのです。確かに下から見た限りでも10階は優に越えていたであろう
ショッピングセンターでしたが、上から見ると、さらに高く見える。
『ここから?命綱もなしに?飛び降りろと?』
『ああ。私には、パラシュートSDPがあるからな。』
『せこい!てか、SDPってなに?! 』
リサは、アマリリスの持っている大き目のパラシュートを指差して言った。
『S!! スペシャル!! D!! でっかい P!! パラシュート!!』
『そしてダサい!どうしてアマリリスさんの考える名前はそう、いつもダサいんですか!!?』
リサが、言い終わると、アマリリスは、リサの返事もなしに、リサノ体を抱きかかえ、
ぽーんと高く飛び跳ねた。
そして、真っ直ぐ黒々としたアスファルトの上へ…
『いーやあああぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!』
| 01 | 2026/02 | 03 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |